濃霧
明治二十二年、二十ニマイル沖までとどく、千二百燭光の襟裳灯台ができてからも、遭難はあとをたたない。
海の魔女の息吹のような濃霧が、灯台の光をさえぎるからです。
霧笛が霧の中を航海する船人に呼びかけたが、一年二百六十四日は十四メートル以上の風のあるここでは、霧笛の声まで天空に引きさらってしまいます。
そこで北海道ツアーでは目にも耳にも感じない霞波が、危険信号を船に送ってよこします。
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明治二十二年、二十ニマイル沖までとどく、千二百燭光の襟裳灯台ができてからも、遭難はあとをたたない。
海の魔女の息吹のような濃霧が、灯台の光をさえぎるからです。
霧笛が霧の中を航海する船人に呼びかけたが、一年二百六十四日は十四メートル以上の風のあるここでは、霧笛の声まで天空に引きさらってしまいます。
そこで北海道ツアーでは目にも耳にも感じない霞波が、危険信号を船に送ってよこします。
いつ何時、どんな知識が必要となるかわからない。
これが翻訳の世界です。
深みのある訳、的確な訳に仕上げられるかどうかは、翻訳家自身にどの程度のストックがあるかにかかっているといえます。
それだけに、どんなものにも興味を持ち、さまざまな情報に敏感であること、常に好奇心を失わず、あらゆる知識を吸収しようとする姿勢を保ち続け、知識のストックを増やし続けることが大切になってくるのだと思います。
ベストセラー本に翻訳者として名前が載る。
あるいは、大ヒット映画に字幕翻訳者として名が出る。
翻訳の仕事をこのような華やかな面だけでとらえている人は、後で大きく後悔するはずです。
というのも、訳書に名前が載る、映画に名前が出るというのは、あくまで仕事の結果にしか過ぎません。
その過程は、非常に地味で孤独な作業ばかりなのだと思います。
翻訳作業の90%は机に向かい、辞書と首っぴきでひたすら原文を日本語文章に置き換えることに費やされます。
残りの10%も、調べものをするために図書館や書店に足を運んだり、電話で不明点を原作者に問い合わせたり、スムーズに翻訳を進めていくうえでの調査が主体となります。
翻訳をやる人は、本を読むことが苦にならない人がいいんですね。
わからないことは調べ、後は地道に翻訳作業を繰り返す。
翻訳家は実に机の前に座っている時間が長い仕事であり、ゴールに向かってコツコツと訳を積み重ねていく仕事でもあります。
したがって、「コツコツ地道に」が苦手な人には向きません。
頂上を目指して、一歩一歩進んでいく。
この作業を大切にしなければ、翻訳という仕事はできないのだと思います。
フリーランスで活躍する場合、基本的に仕事に関しては個人単位で動くことになります。
会社に属して働く人たちのように、社内の人間関係やチームワークを大切にするといった気配りは必要としませんが、フリーだからこそ大切にしておきたいものもあります。
たとえば、産業翻訳であれば翻訳会社、出版翻訳であれば出版社、メディア翻訳であれば映像制作会社のように、仕事の発注をしてくれる人たちとのコミュニケーションは図っておかなければなりません。
また、いざというときに助けてくれる翻訳家仲間とは、常にいい関係を築いておきたいののもです。
個人で動く仕事だからと、人とのコミュニケーションをおざなりにするようでは、いい仕事が回ってくるチャンスを逃すばかりか、いい訳を仕上げていくこともできません。
常に机に向かっていると言うよりは、コミュニケーション能力も必要なのですね。
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