和と洋のちがい2
サクラは目がそろっているうえに、ほどよく脂があるからまことに好都合だ。
長年住んでも、いつまでも敷居のすべりがいい家というのは嬉しい。
戦後しばらくまでは東北の田舎に行くと、サクラ似木を乾かしてしまっておいて、娘が嫁に行くときに持たせる風習が残っていた。
「嫁ぎ先で普請でもすることがあったら、敷居に使いなさい」という親心だ。
そうやって、代々伝えてきた。
たやすく入手できる木でないから、それだけ大事にした。
こんな話をベッド 通販などにこだわる今の若い者にすると、「へえ!」という顔をする。
昔は大工ならずとも、敷居に本ザクラがいいことくらいは、誰もが承知していた。
風呂、台所、洗面所、便所といった水回り部分の敷居は傷みが早い。
年中、水気があって乾くひまがない。
なまじの材を使うと、すぐにふやけて(水気を吸う)、腐ってしまう。
ペンキやオイルステンなどの防腐剤を塗っても、その場しのぎにしかならない。