バーでのあんな話、こんな話 5
わたしも早くそんな心境になりたい。
でも、当分だめ。
誕生日前日に顔を殴られたあの悲しい出来事が心にこびりついていますから……。
なんといっても、わたしにとっていちばんいやな思い出は、無言電話をかけているときの自分の姿だった。
今考えると、ゾッとします。
まさかわたしが無言電話をするようになるなんて、思ってもいなかった……。
どうかしてたんですね、普通じゃなかった。
〈あいつがわたしの性格を悪くしたんだ〉
〈こんな女じゃなかったのになあ〉
彼を恨んだりもしました。
でも、一度は愛し合った二人です。
いやな思いは早く淘汰されて、いい思い出だけが心に残るようになれぼいいなア、あのシャンソンのように。
それにはまだ時間がかかりそうです。
なんというか、かならず、思い出となって笑えるようになるようになるのは本当に保障します。それまではうちにやってくればいくらでも話は聞きます。